「海街diary 2巻 真昼の月」のネタバレと感想を紹介します。
吉田秋生(よしだあきみ)先生の、鎌倉を舞台にした傑作漫画「海街diary」(全9巻)。
四姉妹を中心とした家族のきずなが丁寧に描かれています。
主人公であるすずが、3人の姉たちと暮らし始め、鎌倉での新しい生活にも慣れてきました。
3人の姉たち、それぞれが抱える愛のかたち…。
すずと同じサッカーチームの、チームメイトとの淡い恋模様。
「海街diary 2巻」の本作品には、全4話が収録されています。
海街diary 2巻 真昼の月 のネタバレと感想
1 花底蛇(かていのじゃ)
香田三姉妹の異母妹(いぼまい)の四女として山形から鎌倉へとやってきた浅野すず。新しい環境での生活にもようやく慣れてきました。
香田家の四姉妹が、皆そろって囲む朝食の時間は貴重です。
長女の幸(さち)は市民病院に勤める看護師。次女の佳乃(よしの)は信用金庫に勤めるOL。三女の千佳(ちか)はスポーツ料品店に勤めています。
そして主人公のすずは、中学1年生です。
それぞれに生活リズムが違っており、4人がそろうのは幸が休みか、遅い出勤の朝だけだからです。
夜、すずは梅の花が咲いていることに気付きます。今年もたくさん実をつけてくれるかと思いを巡らせます。
幸から、今年はすずも虫よけを手伝うようにと言われます。
『花も木も生きているものは みんな手間がかかるの』と幸。
それは、幸の祖母が生きていた頃から、ずっとそうしてきたことなのでした。
すずは、佳乃がこの頃よくため息をつくのに気づいていました。その原因は佳乃の彼氏である藤井朋章(ふじいともあき)のせいだと推測します。
そしてすずは、朋章の正体?を知ってしまうのでした…。
2 二人静(ふたりしずか)
すずはサッカーの試合で相手チームの選手3人からマークされ、あげく顔にヒジテツを食らってしまいます。鼻血を流し一瞬動揺を隠しきれないすず。
それを見たチームメイトの緒方将志(おがたまさし)はカッとなり、相手選手に手を出してしまい、レッドカードをもらうはめになります。
『…やっぱ 限界なのかな…』と空を見上げて思いを巡らすすず。
今まで男子とのサッカーの試合で怖いと思ったことのなかったすずでしたが、初めてヤバイと感じたのでした。
その後、チームメイトの多田裕也(ただゆうや)が入院している病院を訪ねたすず。
裕也に、サッカーをやめようか迷っていると相談しようと思っていたのでした。
しかし、裕也がサッカーを本当に好きであることを改めて感じて、言えずじまいになるのでした。
そこに、同じサッカーチームでゴールキーパーを務める坂下美帆(さかしたみほ)が、裕也を訪ねてきますが…。
3 桜の花の満開の下
尾崎風太(おざきふうた)は将志を呼び出し、問いただします。それは将志が裕也に対して「風太とすずが付き合っている」といったからです。
風太はすずから、『あたしたち別になんでもない』と言われますが、すずの目元に小さなほくろがあるのに気づいて、それに見入ってしまい、否定も肯定もできないのでした…。
すずの所属するサッカーチームの練習に、裕也が復帰します。
ランニングメニューを行う裕也は、明らかにつらそうでした。
―『多田裕也は去年病気で右足を ひざから下切断したのだ』―
裕也のスポーツ義足を見た風太は、動揺を隠せません。ボールをコントロールできない裕也を初めて見たと、落ち込みもと、驚きとも何とも言えない感情が風太をおそうのでした。
4 真昼の月
梅が実る季節になっていました。
今年の香田家では、すずと風太、将志が梅の実の収穫の手伝いをすることになりました。
そんな中、幸に大船のおばちゃん(幸たちの大叔母)から電話が入ります。
それは幸たちの実の母・香田都(こうだみやこ)から、「祖母の七回忌に出席したい」と連絡があったとの内容でした。
札幌に住む都は、祖母の葬式のために鎌倉に来て以来、一周忌も三回忌も幸たちのもとを訪れたことはありませんでした。
さらには幸と都はとても相性が悪いのでした。
幸は同じ病院で働き、すずが所属するサッカーチームの監督をしている井上泰之(いのうえやすゆき)と、仕事を通じて初めて会います。
泰之からすずの進路について、近いうちに相談したいと言われます。
―『本格的な女子サッカー部のある高校は限られていますから』―
幸はあらためて、すずの「保護者」なんだと気付かされます。
祖母の七回忌の当日、都は遅刻しながらもやってきます。
法要も無事終わり香田家にも顔を出した都は突然、すず達四姉妹が住む鎌倉の家を売ってはどうかと言い出します…。
海街diary 2巻 真昼の月 の感想
「海街dialy 第2巻 真昼の月」では、今後のこの作品(全9巻)の伏線となるような出来事が、たくさん描かれています。
すずが所属するサッカーチームのチームメイト風太。風太は初めてすずを意識し始めます。
でも、すずはそれには気付いていない様子…。
美帆は裕也に告白しますが…。なんとも「青春」って感じがします。
かと思えば、幸が交際している男性の素性が明らかになります。その相手とは…。
「海街dialy 第2巻 真昼の月」では、香田三姉妹の実の母、都が初めて登場します。
三姉妹がまだ幼い頃に、鎌倉の家を出ていった母です。
都が出ていったあと、三姉妹は祖母と生活していたのでした。
都とは犬猿の仲の幸。
しかし、祖母の墓前に手を合わす都を見て、幸はあることに気付かされるのです。
それは当たり前だけれども、普段は気付かないようなこと。
―『私たちの母親だけど その前におじいちゃんとおばあちゃんの娘なんだ』―
幸の中で、ほんの少し気持ちが変わっていきます。
ここまで列挙すると、シリアスな作品かと思われるかもしれませんが、クスっと笑える要素も処々に含まれていて、スルスルと読み進めることができます。
しかしゆっくりと読み返すと、登場人物たちの細やかな心理描写やセリフに、きっと心を動かされるでしょう。それが「海街dialy」の最も魅力的な要素と言えるでしょう。
物語は「海街dialy 第3巻 陽のあたる坂道」に続いていきます…。
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