詩歌川百景 2巻のネタバレ、あらすじと感想を紹介します。
吉田秋生先生による「海街diary」のスピンオフ作品である「詩歌川百景」。
舞台は海街・鎌倉から一転し、山形県北部の山あいの小さな温泉町へ。
河鹿沢温泉の老舗旅館「あづまや」で、湯守り見習いとして働く和樹。
異父弟の守と慎ましやかに生活しています。
「あずまや」の大女将の孫娘で、同じ旅館で働く二年下の「妙」にからかわれながらも、和樹は、師匠の倉石に教えを受けながら、湯守として勉強の日々が続く…。
「詩歌川百景 」2巻には第5話から第8話が収録されています。
詩歌川百景 2巻のネタバレ、あらすじ
第5話 対岸の桜
春、山桜の頃。
和樹と妙、林田類、森野剛たちは、スナック「サンバ」の宮本初江(はつえ)ママのお店で、「あづまや」の大女将の芸者時代の写真を見せてもらっています。
初江ママから、昔の大女将は今とは違ったきゃしゃな体形ゆえに、「鶴千代」という芸名であったこと、美人で気風(きっぷ)がよく、売れっ子だったと聞かされます。
そして、初江ママ自身も「小雪」という名の芸者だったことが明かされます。
同席していた初江ママの長男で町議会議員の宮本秋成(あきなり)から、高度経済成長期やバブル期の、この温泉町での出来事について話題が上がります。
そこには、再開発推進派と反対派の軋轢(あつれき)があったことも…。
アルバムを眺めるうちに、昔のプライベート写真も出てきます。
そこには、若き日の大女将や夫である雄作(ゆうさく)、初江ママや倉石が写っているのでした。
初江ママは、『当然だけどあたしたちにも あんたたちぐらいの頃があったのよ』と…。
妙はこの春高校を卒業し、進学はせずに「あづまや」にてフルタイムで働き始めていました。
今、妙の頭の中は、旅館の仕事のことでいっぱいの様です。
スナック「サンバ」からの帰り道、剛は妙にショッピングモールに行かないかと誘いますが、あっさりと断られてしまいます。
和樹と類、剛の3人だけになり、ようやく和樹はピンときます。
『剛 おまえ 妙のこと… 好きなのか?』と…。
第6話 見えない毒
春、山菜の頃。
近くの山で和樹と、板場で修業中の身である山崎源(やまざきげん)は、倉石から山菜の「うるい」と、それとよく似た毒草「バイケイソウ」の見分け方を教わっています。
そこに居合わせていた妙。
倉石から山菜の話題を振られるも、一瞬間があきます。
和樹は妙が、上の空になっていることが珍しいと感じます。
―『妙は今朝から なんとなく様子がおかしい』―
和樹は思わず妙に話しかけます。
『まーこ姉ちゃんが帰ってくるの』と…。
まーこ姉ちゃんとは小川麻揶子(おがわまやこ)のことで、「あづまや」の現社長である小川仙太郎の姉なのでした。
妙も和樹も幼い頃から、麻揶子のことを苦手に感じていました。
―『けっこうキャラがキョーレツなのだ』―
そして、麻揶子が「あずまや」に一宿泊客としてやってきますが…。
第7話 深呼吸のできる場所
初夏、木々の緑が美しい頃。
河鹿沢温泉では、防火訓練が行われています。
今年から消防団に入った、新人の和樹、剛、類も当然参加しています。
消防団は、森林組合長でもある「ヤッソさん」こと宮本八寿雄(みやもとやすお)が、団長を務めており、団員は林業関係者が中心となって構成されています。
この山深い温泉街は、細い路地や階段道が多く消防車は入ってこられず、そのため人力による初期消火は重要で、日頃からの防火訓練は欠かせないのでした。
団員は職業柄みな健脚で、和樹たちは訓練についていくのにやっとの状況です。
そんな中、剛は妙への気持ちをどう伝えたらよいか、和樹や類に相談するのでしたが…。
第8話 告白
梅雨の頃。
河鹿沢温泉では、古くから伝わる神事「夏越しの祓(なつごしのはらえ)」の茅の輪(ちのわ)作りに忙しい時期です。
「茅の輪」とは茅(かや)で作った大きな輪で、神社の前に据え付けられ、その輪をくぐり無病息災を祈願するものです。
「茅の輪」作りには、神社の氏子衆をはじめ、子供会や青年部、婦人部等、町民総出で準備にあたります。
その準備作業の中、類は剛に対して「夏越しの祓」の日に、妙に告白してみてはどうかと提案します…。
小雨の降る中、類は完成した「茅の輪」の写真を撮っています。
そこに妙があらわれます。
妙は類に問います。
県内一の進学校に通い、その中でもトップの成績だったにも関わらず、大学に進学することなくこの町に残ったことを。
密かに受験勉強までしていたことも。
類は答えます。
―『誰かさんが好きだから』
『少しでも長く誰かさんのそばにいたかったから』―
詩歌川百景 2巻の感想
小学校時代からの幼馴染である、和樹、剛、類。
そして夏休みになると東京からこの温泉町へとやってきて、和樹たちと仲よく遊んでいた二つ年下の妙。
しかし、ある年をさかいに妙は姿を現さなくなります。
月日は流れ、妙が中学3年生の夏、両親が離婚したことをきっかけに、母親とともにこの町に住むことになります。
剛は、その頃から妙を意識し始めます。
類の助言もあり、剛は妙に告白をしますが…。
一方の類も、類の妹「莉子」の話によれば、妙に気があると聞かされる和樹。
和樹の中で、もう一緒に過ごした夏休みの様な関係には戻れないと、苦悩が始まります。
自分たちはもう、十分に大人になってしまったということ。
和樹は思い切って類に尋ねます。
―『…おまえも妙をすきなんじゃないのか?』―
類は三角関係なんか面倒くさいので、降りたと答えます。
しかし、和樹は類の言動に違和感を覚えます。
はたして、類が本当に好きな人物は…。
物語は「詩歌川百景 3巻」へと続いていきます。
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