少年のアビス 1巻のあらすじ・ネタバレと感想を紹介します。
田舎町で希望のない日常を送る高校生の黒瀬令児。
家族、幼馴染み、地元に縛られ自由に身動きがとれない。
そんな中、偶然にアイドルの青江ナギと出会う。
しかし、二人はあらぬ方向へと進んでしまうのか…。
少年のアビス 1巻には第1話から第7話が収録されています。
少年のアビス 1巻のあらすじ・ネタバレ
第1話 その町の少年
高校生の黒瀬令児はある日、担任の先生から進路指導室に呼ばれます。
就職希望と書かれた書類を見て担任は、あなたの成績ならK私大くらいはと勧めますが、令児は家庭の事情があり町を出れないと。
令児の家庭は母親と兄、おばあさんの4人暮らしですが、お兄さんが引きこもり、おばあさんが認知症の病気。
令児は早く働いて家のことを一手に引き受けている母を楽にしてあげたいと考えています。
担任はこの町で高卒で就職して母親を楽にさせるのは大変なので進学のことを相談するように勧めます。
令児の幼なじみの同級生チャコは県で1番の私立・女子高に通います。
通学のバスで二人はよく一緒になります。
彼女はアイドルグループ・アクリルの大ファンでメンバーの青江ナギがお気に入り。
令児もその影響でアクリルのファンです。
チャコは一年半後に地元を離れ、東京の大学に行く夢を令児に語ります。
そして、令児に対しては家の事情などいろいろあっても自分の人生を大切にするようにと。
令児とチャコは道を歩いていると女性2人組の旅行客から”情死ヶ淵(じょうしがふち)”の場所を聞かれます。
2人組は似非森浩作(えせもりこうさく)の聖地巡礼をしているのです。
チャコは令児に聖地巡礼の内容を話します。
似非森浩作の「春の棺」という小説に神月川の上流にある”情死ヶ淵”が出てきます。
江戸時代の初め、集落に美人の旅人がやってきて村の男と相思相愛になりますが、村人から嫉妬による邪魔をされ、結婚も村を出ることも出来ずに悲観して川に身を投げて心中したという話です。
チャコの話が終わると令児の携帯が鳴ります。
峰岸玄からファミレスにいるのでタバコを買って来いというメールが入ります。
玄は幼なじみの同級生で令児は使い走りをさせられています。
令児は途中コンビニで煙草を1箱買い、ファミレスに行きますが、玄に煙草を渡すと2箱買って来いと言ったというので令児は再びコンビニへと向かいます。
令児がコンビニで煙草を買おうとすると女性店員から制服の方にはお売りできませんと断られます。
令児が家に帰ると母がおばあさんの世話をしています。
そうこうすると兄の母への罵声が聞こえてきます。
兄のお気に入りの「からあげさん」のストックが切れて声を荒げているのです。
令児は、買ってこようか、と母に申し出ます。
コンビニに買い物に行くと、先ほど煙草を断られた女性店員が大きなポリ袋を持って外へ出てきます。
見るとホームレス?の人に弁当を配っているようです。
一段落するとその女性は煙草を吸い始めます。
令児の姿を見てその女性はたばこを1本渡し、顔を寄せてタバコの火で令児の煙草に火をつけます。
令児は驚きます、なんとアイドルの青江ナギです。
第2話 お忍びデート
アクリルは平均年齢17.5歳の4人組グループ。
まだメジャーではありませんが、アイドルオタ会では徐々に人気が出ており、なかでも青江ナギは美人で注目されています。
その青江ナギが今、自分の目の前にと令児は驚きます。
ナギはコンビニ店の外で令児に自分の正体とホームレス風の男性にお弁当を渡していたことは秘密にしてほしいと。
令児はナギのポリ袋から買い物で必要なものを見つけ、もらっていきます。
令児はお礼を言うとナギは名前を聞かれ、この町に来たばかりなので今夜、町を案内してと頼まれます。令児は喜んでその申し出に応じます。
令児は一旦、家に帰り、約束の時間に令児は青江ナギに会います。
令児は自転車で国道沿いを走り、町を案内します。
令児はナギと川の橋の上からこの川の上流で最近小説に出て有名になっている場所があると言うとナギは小説「春の棺」に出てくる心中場所「情死ヶ淵」の言葉を口にして、そこから心中の話になります。
ナギは、心中を羨ましい、一番幸せな死に方だと言います。
そして、今から私たちも心中しようか、と令児を誘います。
令児が何を言っているのですかと言うとナギは、令児の人生はこの先つまらないだろうし、アイドルと高校生の心中はSNSで1日くらいトレンドに入るかも、と言います。
令児は、アイドルの青江ナギと死ねるなら最後に少しだけ、生きててよかったなって思えるかもと言います。
ナギは、今から私の家に来ない?青江ナギと死ねて幸せって思わせてあげる、と令児を誘います。
第3話 青江ナギ
令児は青江ナギの家に行きます。
二人はキスをしますが、令児の様子からナギに女性経験がないことを気付かれます。
令児はシャワーを浴びながら初体験の相手があの青江ナギと気持ちが盛り上がります。
シャワーから上がるとナギは令児に気を使い、アイドルらしくデビュー曲の衣装を着ています。
令児はナギと一体になろうと試みますが、緊張してしまいうまくいきません。
リラックスしてとナギに誘導され、打ち解けて話をします。
ナギは20歳ということも知ります。
そうこうするうちに令児はナギと結ばれます。
令児は部屋に水槽があり、熱帯魚が飼われているのに気が付き、1匹だけで寂しそうだねと言うと、ナギは熱帯魚の名前は、”凪(なぎ)”と言います。
ナギから飲み物が冷蔵庫の中にあると言われ探しているとなんと男が部屋に入ってきます。
その男は以前コンビニで見かけたホームレスと思った人です。
第4話 邪魔者
令児はナギにこの人は?と聞くと、私の夫と答えます。
ナギは、ごめんね!今日は帰ってこないって言ってたから…と言います。
男は令児を見ると、いらっしゃいと言い、怒る様子はありません。
そして令児に服を着るように言います。
令児は、失礼しましたと服を着てナギの家から立ち去ります。
走りながら青江ナギは結婚していた、オレは不倫相手?などと気が動転してしまいます。
翌朝、令児は兄の怒鳴る声で目を覚まします。
おばあさんがデイサービスに行く日でテンションが上がって大声を出し、兄が怒ったのです。
その後、デイサービスの車がやってきておばあさんを乗せて行くと静かになりました。
令児は母から自転車がないと言われ、昨日ナギのアパート置きっぱなしにしたことを思い出します。
第5話 件の男
するとナギの旦那がその自転車に乗って令児の家の前に来て、母に向かって親しげに声をかけます。
母もその男に野添くん?と声をかけます。二人は中学校の同級生だったのです。
その男は、令児が昨日忘れた自転車を届けにきた、自転車に「黒瀬夕子」の名前が入っていたので息子さんと思ったら当たっていた、などを話します。
母は、こっちには旅行?と聞くと男は一時避難かな、半月くらい前に越してきたと答えます。
母は令児に、あの人には関わらないで悪い男だから、と言います。
令児は母と同級生だとあの男は46歳、ナギは20歳、なんで青江ナギが母の同級生と結婚しているんだろう?と頭の中が混乱します。
その日は夜に台風直撃とのことで高校は昼で早退する帰り、チャコに出合い、台風は大した事なさそうなので肉まん買って家で漫画を読もうと誘われます。
チャコの家に入るとチャコは令児に「情死が淵」のことが書いてある「春の棺」の小説を渡します。
作者の顔写真を見て、令児はコンビニで会ったホームレス風の男、ナギの夫であることを知ります。
令児はチャコにこの小説の作者はどんな人と聞き、人間的には問題のある人物であることを知ります。
第6話 疾走
チャコはスマホのネット情報で、青江ナギがアイドル活動を無期限休業のことを知り、ショックを受けている様子です。
令児はナギのことを思い出し、帰ることにします。
帰り道、ナギが働いていたコンビニの前でナギがいるかなと思いながら店に近づきます。
すると峰岸建設のワゴン車が前方に止まり、男たちが降りていきます。
玄が令児の姿を見て名前を呼び、峰岸建設の男たちに令児が高校卒業後、うちで働くのでみんなよろしく頼むと言い、令児も挨拶しますが、無視されます。
その様子を隠れて見ていたナギは男たちが店の中に入ると令児に近づいてきます。
令児はナギの手をつかみ雨の中を走り去ります。
玄はその様子を窓越しに見ています。
第7話 深淵ーアピスー
強い雨の中を2人は走り、ナギはコンビニの制服を脱ぎ捨て、死ぬのにもってこいの日だね、と言います。
令児はナギに、情死ヶ淵の場所を聞きますが、知らないと返されます。
ナギはなんで自分と死のうとしているのだろうかと令児は思います。
川の土手の上から道路を眺めると峰岸建設のワゴン車が通り過ぎます。
令児は峰岸建設のワゴン車に向かって、今から死ぬからお前のところでは働けない!と叫びます。
そして令児は、家庭内の不平不満、兄や母、おばあさんに対する不平不満を口にします。
するとナギは、全部捨てて町を出ていけば?と言います。
令児はチャコから以前聞いた、令くんの人生は令くんのものだよ、という言葉を思い出します。
令児は、俺が心中するのをやめるって言ったらどうするの?と聞くとナギは、私はこのままいくと言います。
令児は、ナギになんで死にたいの?と聞くとナギは、私は死にたい理由はなく生きてる理由がない、と答えます。
しばらく行くと、もうこの辺でいいか、疲れちゃったね、ということになります。
令児は、ナギさんこの町に来てくれてありがとう、と言います。
ここで1巻は終わります。
少年のアビス 1巻の感想
令児は高校生で青春真っ盛り、本来はもっと希望に燃えていてもおかしくない年代。
しかし、田舎町の地域社会の中、複雑な家庭環境もあり、令児は身動きが取れない状態で将来に希望が持てません。
受験に失敗して引きこもりになった兄、認知症を患っているおばあさん、そして令児も含めて女手一人で支える母。
その母を助けようとすればするほど深みにはまり、そこから出れなくなるような感じです。
父は登場しないのでいないのかもしれません。
令児は特別勉強ができるわけでもなく、幼なじみの峰岸玄の使い走りをさせられ、高校卒業後も玄の父親の土建屋にお世話になるしかない身分です。
全体的に閉塞感が漂い、行き場のないやるせなさが漂います。
そのような状況下で令児には幼なじみのチャコが心の支えなのでしょう。
チャコは県で一番の進学校に通いますが、庶民的な性格で令児にも親切に接してくれます。
令児は、チャコから東京の大学に行く夢を聞かされ、家のこととかあるけど令くんの人生は令くんのものだよ、と言われますがあまり心に響かず、自分事として考えられませんでした。
そして、令児はアイドルの青江ナギに出会い、親しくなります。
ナギも心に闇を抱えている印象です。
ナギは20歳ですが、46歳の訳アリの男・小説家の似非森浩作と結婚しています。
家の水槽に”凪(なぎ)”と名付けた熱帯魚を1匹だけ飼っているのもナギの寂しい、満たされない心象風景を映しているように思いました。
令児はナギから心中を羨ましい、一番幸せな死に方だと聞かされ、一緒に心中しよう誘われます。
令児もだんだんとその気になってきますが、死に近づこうとするとその対極にある”生きる”という力も活性化されてくるのでしょうか。
令児はナギと一緒に心中する場所へと川上に向かう途中、家族や地元の不満などをぶちまけると、ナギからそんなに嫌なれば、全部捨てて町を出ていけば、と言われ少しその気になりかかります。
しかし、二人は心中の場所を決め、しばし抱き合うと二人は安らいだ気持ちになり、令児はナギにこの町に来てくれてありがとうと言います。
令児はナギと出会いこれまで経験できなかった大切なことを教えてくれたこと、アイドルといっても同じ一人の人間と気づかせてくれたことなどにお礼を言いたかったのでしょう。
さて、この後の二人はどうなってしまうのでしょうか?
続きが気になりますね。
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