「海街diary 6巻 四月になれば彼女は」のネタバレ、あらすじと感想を紹介します。
吉田秋生(よしだあきみ)先生の、鎌倉を舞台とした傑作漫画「海街diary」(全9巻)。
すずは、3人の異母姉と暮らし始めて2回目の春をむかえていました。
中学3年生となったすず。
進路に悩む時期ですが、サッカーの強豪校から特待生の話が舞い込みます。
長女の幸は、すずが所属するサッカーチームの監督、泰之に悩みを打ち明けられる程の関係性に。
次女の佳乃も、上司の坂下課長のことが次第に気になり始めます。
「海街diary 第6巻 四月になれば彼女は」も、目を離すことのできない物語、全5話が収録されています。
海街diary 6巻 四月になれば彼女は のネタバレ、あらすじ
1 いちがいもんの花
すずは何か思いつめている様子です。それに気が付いた風太は、すずに声をかけます。
実は、おばの北川十和子から電話があり、すずの祖母の遺産相続の関係で、一度金沢に来てくれないかと言われたからでした。
相続人の中には、すずの父、母のことを許していない人がいるので、十和子はすずが嫌な思いをするかもしれないと心配してくれていることも…。
風太から、『行ってこいよ 金沢』と後押しをされて、すずは母の実家のある金沢に行くことを決めます。
すずは3人の姉たちと一緒に、金沢を訪れます。
すずの母親の実家は、老舗の呉服屋を営んでいました。
実家に到着した四姉妹。
そこで十和子から、すずのいとこにあたる北川直人(きたがわなおと)を紹介されます。
相続の話合いをする間、大学生である直人は、すずと千佳を金沢プチ観光に連れ出してくれます。それは、十和子の心づかいでした。
相続の話合いには、幸と佳乃が同席することになりますが…。
2 逃げ水
佳乃と坂下課長は、山猫亭に来ていました。
そこで、アジフライを食する二人。思わずそのおいしさに感動します。
亡くなった「海猫食堂」の店主・二ノ宮幸子のレシピを受け継いだ、緒方ミドリ(すずのチームメイト、将志の母)が、今は「山猫亭」でアジフライを出しているのでした。
山猫亭の主人、福田仙一からあることが告げられます。
それは亡くなった二ノ宮店主が、ミドリの2人の息子に、遺産のうち20万円を相続させる遺言書を作成していたとのことでした。
その遺言書の開封を、佳乃が務める信用金庫で行うのでミドリも立ち会って欲しいと…。
ミドリは気付きます。それは、二ノ宮店主の唯一の法定相続人である「弟」もやってくると。
その弟は二ノ宮店主の葬儀にも顔を出さない、非・常識人なのでした。
幸は、緩和ケア病棟に異動となってから、この仕事が自分には向いていないのではと悩み続ける日々…。
幸と、すずが所属するサッカーチームの監督である井上泰之は、山猫亭にアジフライを食べにやってきていました。
『これが伝説のアジフライかぁ!』と、その味に感激する泰之。
その後、幸は自分の悩みを泰之に打ち明けます。
泰之も、サッカーチームの監督に向いていないと思っていた時期があったことを、幸に語ります。
でも泰之は、今ではそれを素直に認めようとしていると。
二人とも同じように、理想と現実のギャップを持っているのでした。
泰之は続けます。『でも理想って 結局たどりつけないんじゃないかな』と。そして、『第一たどりついたら それで終わりでしょ?』とも…。
幸と佳乃は、初めてお店で2人飲みをしていました。
そこに、偶然坂下課長が訪れます。が、『また来ます』と言って立ち去ってしまいます。
幸は佳乃に『行ったほうがいい』と声をかけます。
佳乃は、坂下課長を追いかけ誘います。『つきあいますよ あたしでよかったら』と…。
3 地図にない場所
すずのいとこで美大生である直人は、卒業制作の準備のため、金沢から鎌倉にやってきました。
直人いわく、鎌倉にどうしても行きたい雑貨屋があるとのこと。
「超」が付くほどの方向オンチの直人のために、すずは行動を共にすることになりました。
道中、鎌倉の路地文化に感動する直人。迷いながらも何とか雑貨屋へとたどり着きます。
しかし、お目当てにしていた刺繍のほどこされたストールとバッグは売り切れていて、直人は落胆を隠せません。
雑貨屋の主から、その作品は北鎌倉の「糸切屋」というアトリエの女性作家のものであることを教えてもらいます。
主は、その女性作家に連絡をつけてくれ、直人とすずはアトリエに向かうことにしました。
すずは思います。こんな時、地図に強い風太がいてくれたらと…。
風太は、裕也と将志とともに食事に来ていましたが、すずのことが気になってしかたがありません。
裕也からのアドバイスを受けて、すずに連絡を取った風太。
そして、すずと直人は、風太達と合流します。
目的地のアトリエに向かうため直人は、風太に一緒に来てほしいと頼みます。
3人は北鎌倉駅からアトリエに向かいますが、道は行き止まりになります。
そこで『ポジティブ方向オンチ』の直人は、脇道を見つけます。
細い脇道に不安になるすずと風太でしたが、先に進むと目的のアトリエ「糸切屋」が姿を現します。
直人はそこでアトリエの桐谷糸(きりやいと)に、一目で釘付けになるのでした…。
4 肩越しの雨音
すずに静岡のサッカー強豪校である掛川学院から、スポーツ特待生で受験するかどうかオファーがあります。
―『あいつがこの街を出て行く』『また明日ってもう言えなくなる』―
風太は思いを巡らせます。
すず本人も、3人の姉たちと暮らす家―『ここから離れて暮らす ちょっと想像がつかない』―と。
裕也は、サッカー日本代表の帯同ドクターになりたいと、勉学に励んでいます。
一方のすずは、自分の夢とは何なのかをあらためて考えます。
『自分で決めるって こんなにタイヘンだった?』と悩むすず。
そんな様子に気付いた風太は、『帰り 覆面まんじゅう食わねえ?』とすずを誘うのでした…。
5 四月になれば彼女は
佳乃は、坂下課長と山猫亭に来ていました。
そこで佳乃は、すずが特待生の話について悩んでいると打ち明けます。
坂下課長は、『悩めるのは いいことじゃない』『時間と選択肢があるってことだから』と。
そして、それは幸福なことであると続けます。
山猫亭の仙一も同意します。
皆が帰ったあと、浜田三蔵が1人で山猫亭を訪れてきます。
そして仙一に、かつて三蔵と仲間の高山(たかやま)がエベレスト登頂にチャレンジした際に世話になった、クライマーのアン・パサンが死亡したとの連絡を受けたことを語ります。
三蔵の店の社長から、三蔵と高山が山岳会を代表して香典を持って行くように言われたことも。
三蔵は、行くかどうか正直迷っていると…。
―『あそこには指といっしょに いろんなものを置いてきましたから』―
三蔵は、仙一から他にも迷う理由があるのか問われますが、沈黙を続けます。
すずはサッカーの練習中に将志から、特待生の話が来ていることを唐突に言われます。
特待生の事は、まだチームメイトには話してはいなかったので、寝耳に水です。
すずは、まだ具体的な話ではないと否定しますが、将志は一人盛り上がります。
思わずすずは、『人のことに いちいち首つっこまないで』とキレて、グラウンドを出て行ってしまいます…。
海街diary 6巻 四月になれば彼女は の感想
「海街diary 第6巻 四月になれば彼女は」では、すずのいとこで、美大生の直人が初めて登場します。
直人が卒業制作の参考にと興味を持ったものは、北鎌倉の谷の奥にアトリエを構える桐谷糸という女性作家の刺繍でした。
アトリエで直人は、つらかった小学生時代のことを糸に語ります。
そこで糸は一編の詩を、直人に紹介します。
―「立ちあがって たたみなさい 君の悲嘆の地図を」―
それは、イギリスの詩人、オーデン【W.H.Auden(1907-1973)】のものでした。
糸自身も、学校に行けなかった3年間、何度もこの詩に救われたと…。
私もこの詩には、はっとさせられるものがありました。
時に人間は、いやな思いをして落ち込んだ時、どうしても視野が狭くなり自分の内面だけを見てしまうのではないでしょうか。
負のスパイラルという感じです。
かく言う私も、そんな人間の一人です。
そんな時でも外の世界を見渡せば、空は晴れ渡っているかもしれません。きれいな花が咲いているかもしれません。いい音楽が流れているかもしれません。
どんな時でも、すべてのことに感動と感謝の念を忘れないこと。「ありがとう」の気持ちを持つこと。
そこから何かが、変わっていくのではないでしょうか。
物語の本筋に話を戻しますが、サッカーの特待生の話が舞い込んだすず。
次第に、上司である坂下課長にひかれていく佳乃。
幸は、泰之との距離が段々と近くなってきました。
今後どうなっていくのでしょうか。
さらには千佳と交際?している三蔵が、山猫亭で沈黙してしまった理由とは…。
「海街diary」(全9巻)も、今回で第6巻目、残すところあと3巻。
物語は、「海街diary 第7巻 あの日の青空」に続いていきます…。
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