「海街diary 4巻 帰れない ふたり」のネタバレ、あらすじと感想を紹介します。
吉田秋生(よしだあきみ)先生の鎌倉を舞台とした傑作漫画「海街diary」(全9巻)。
すずは、同じサッカーチームで同級生の風太のことが、気になり始めます。同じく風太も。
二人の淡い恋模様が丁寧に描かれていきます。
また、香田家の三女・千佳(ちか)の恋人?浜田三蔵の過去が明らかになったり。
長女・幸(さち)や、次女・佳乃(よしの)にも新たな恋の予感が…。
海街diary 4巻 帰れない ふたり には全4話が収録されています。
海街diary 4巻 帰れない ふたり のネタバレ、あらすじ
1 帰れない ふたり
すずは、所属するサッカーチームのチームメイト坂下美帆(さかしたみほ)の誕生日にマグカップをプレゼントします。
そこで、同じくチームメイトの尾崎風太(おざきふうた)の誕生日が明日であることが話題になります。
美帆から、『プレゼントなんにしたの?』と言われたすず。
すずは、まったく誕生日プレゼントを渡すことなど、考えていなかったのでしたが…。
翌日、鎌倉は「面掛行列」(めんかけぎょうれつ)のお祭りをむかえていました。
風太は囃子方(はやしかた)で、太鼓を打っています。
すずは、いつもとは違った真剣な表情の風太に見入るのでした。
お祭りの合間に、風太を呼び出したすず。
三女の千佳(ちか)が働いているスポーツショップで選んだ、ネックウォーマーをプレゼントするのでした。
風太は喜びを隠せません。
そして、来月行われる「お十夜」(おじゅうや)のお祭りに、『来月14日 あけとけよ』とすずを誘うのでした…。
2 ヒマラヤの鶴(ツル)
すずのチームメイトの多田裕也(ただゆうや)は、千佳が働くスポーツ用品店に来ていました。
そこには店長の浜田三蔵(はまださんぞう)が写した、「ヒマラヤの鶴」とタイトル付けられた写真が飾れています。
裕也は浜田店長に問いかけます。『なんでタイトル「ヒマラヤの鶴」なんですか?』と。
確かにその写真には、岩と空と、白く光る点々が写っているだけで、鶴と確認できるものは写っていませんでした。
浜田店長は、『これはエベレストにアタックした時に撮ったんだ』と説明します。
そして、その鶴はアネハヅルだと続けますが、いつの間にか裕也はいなくなっていました。
一方、すずが通う通う中学校では始業時間になっていましたが、風太はカゼで休みでした。
さらには、裕也までもが休みなのでした。
学校も終わり、風太の具合が気になったすずは、彼の家を訪ねてみます。
部屋に二人っきりになった、すずと風太。
そこになんと、チームメイトの緒方将志(おがたまさし)が、すずと同じく風太を見舞いにやってきます。
あせったすずは押入れに逃げ込みますが…。
そんな中、サッカーチームの監督である井上泰之(いのうえやすゆき)から、風太に電話が入ります。
それは裕也が、今朝普通に学校に行くと言って家を出たまま、まだ帰宅していないとのことでした。
『行方不明ってこと?なんで!?』と、動揺を隠せないすず達の姿がありました…。
3 聖夜に星降る
風太はすずに渡すクリスマスプレゼントについて、悩んでいました。
一番の親友である将志に相談しますが、『女心をつかむにはな 女の好きなものを贈ればいいんだ!!』との答えに、思わず失望してしまいます。
次に裕也に相談します。
『女の好みってゆーか浅野(すず)の好み探した方が早くね?』と言われ、なぜ先に裕也に相談しなかったか、いまさらになって気づく風太の姿がありました。
すずもまた、風太へのプレゼントについて悩んでいました。
誕生日プレゼントを渡したときは平気だったのに、変に意識しちゃってと…。
幸はすずに対して、『でもそうやって迷うのも楽しいじゃない』、『好きな人がいるってやっぱりいいことよ』と助言してくれます。
そんなやり取りの中、すずの携帯電話に風太からの着信があります…。
4 おいしい ごはん
ランチタイムに佳乃と上司の坂下は、「海猫食堂」に来ていました。
そこでアジフライ定食を注文した2人。
佳乃は、そのおいしさに驚きます。
坂下は仕事上でも、この食堂との付き合いは長いのでした。
そこに近くの喫茶店「山猫亭」の主人である、福田仙一(ふくだせんいち)が現れます。
仙一に対して、あいさつをする坂下。『借金も定期もせえへんぞ』と言われてしまいます。
佳乃はすかさず名刺を差し出しましが、『わしのかわりに そこのゴミ箱にほかしといて』と、あっさり拒否されます。
すかさず佳乃は営業トークを繰り出し、何とか仙一は名刺を受け取ってくれした。
坂下から『福田さんに気に入られたみたいだよと』と声をかけられた佳乃。
坂下自身は、仙一に初めて会ってから名刺を受け取ってもらうまでに、3年かかったとのことでした。
幸も勤務する病院内の食堂でアジフライ定食を食べていました。
そこに偶然、泰之が現れます。冷凍モノのアジフライを『ウマいなー』と言って食べる泰之。
幸は思わず、『もっとおいしいアジフライ知ってますけど!』と言ってしまいます。
流れで、晩ごはんに泰之を「海猫食堂」につれていくことになりました…。
すずと風太、美帆は将志に誘われて「山猫亭」に来ていました。そこで店のおすすめメニュー「しらすトースト」を注文します。
風太と美帆は、初めて食べる「しらすトースト」のおいしさに驚きます。
でもすずだけは、『お父さんが作ってくれたのと同じだ』と…。
そして店を出た後、『あたしの両親 あの店に行ってたかもしれない』と思いを巡らすのでした…。
海街diary 4巻 帰れない ふたり の感想
「海街diary」も4巻をむかえました。全9巻ですので、いよいよ中盤に入りました。
すずと風太の関係性もより親密になり、互いを思う気持ちも出会い当初から比べれば、深まってきました。
長女の幸は、風太について『器用に手を抜けるタイプじゃないのよね 誠実な子だわ』と…。
一読者としては、思わず「風太がんばれ!!」と応援したくなります。
また、三女・千佳の恋人?浜田店長がエベレスト登頂に挑戦した時のエピソードも明らかになります。浜田はこの時、凍傷で両足の指それぞれ3本ずつを失っていたのでした。
浜田店長はそのときの体験を、義足を使用している裕也に語ります。
浜田店長は言います、『人の気持ちなんて そう簡単にわかるもんじゃないよなぁ』と。
その通りだと思います。人はあくまで個々の存在であって、社会はその集合体に過ぎないこと。
でも、人と人とのつながりは重要です。だから私たちは、日常で会話したり、相手のことを想像したりして、打ち解けあっていくものではないでしょうか。
長女・幸や次女・佳乃も一つの恋を終わらせ、新たな出会いをむかえます。
でも当人達は、まだ気づいていない様子。これからの「海街diary」の展開が楽しみなところです。
また、第4話で登場する、食べ物たち「アジフライ」「シラストースト」がとても印象的です。
なんか、鎌倉に行って食べてみたいな~って感じになりました。
なお、第1話のタイトル「帰れない ふたり」は、井上陽水と忌野清志郎の共作である名曲「帰れない二人」を想起させます。
第1話が紙面に掲載されたのは2010年7月のことです。
そして、忌野清志郎が亡くなったのが2009年5月2日。
吉田秋生先生の清志郎へのオマージュであろうかと、推測されます。(間違っていたらごめんなさい、吉田先生。)
物語は、「海街diary 5巻 群青」へと続いていきます…。
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