この世界は不完全すぎる 1巻のネタバレ、あらすじと感想を紹介します。
フェルナーク大陸の南方に位置する辺境の島──クレボーン島。
5つの小国が入りみだり、小競り合いが絶えず、そして謎の異変異常などに見舞われた、混沌の島の辺境の地にて住む、小さな村の住人の少女・ニコラ。
ドラゴンに襲われていた最中に彼女は王の探究者(キングス・シーカー)のハガに救われ、広い世界へと旅立つ憧れを抱いてしまいます。
そして彼の旅に同行を願い出るニコラ。
しかしハガは、この世界の住人ではなく、この未完成の世界を修正する為に働くデバッガーだったのです。
未完成の世界に取り残された青年と、世界に旅立つことを夢見る少女の冒険は、この未完成の世界を完成させる事が出来るのでしょうか?
この世界は不完全すぎる 1巻には第1話から第6話が収録されています。
この世界は不完全すぎる 1巻のネタバレ、あらすじ
第1話 下働きの二コラ
代り映えの無い日常。繰り返しの平穏な日々。
それを当たり前だと暮らしていた少女・ニコラは、その日、初めてドラゴンを見てしまいます。
滅多に人里に降りて来る筈の無いドラゴンの群れに慌てふためく村人たち。
巨大な動く山の様な圧倒的な存在感のあるドラゴンを前に、足がすくみ、逃げる事の出来ないまま、巨大なドラゴンの脚が自分を踏み潰そうと迫ってきます。
逃げる事の出来ない彼女は、そのまま踏み潰されようとしていました。
しかしそんな彼女を救ったのは、一人の青年でした。
動かないで!──と、震える声を懸命に絞りだし、恐怖を堪えて救ってくれた青年の名前はハガと言います。
彼はこの世界の異変を調べる王の探究者の冒険者(キングス・シーカー)だったのです。
命を救われ、シーカーに興味を持つニコラ。
そして外の世界に興味を持ち、ハガに憧れを抱く様になった彼女でしたが、彼には大きな秘密がありました。
その秘密とは?
第2話 羽賀マコト
完全体感型VRゲーム「キングス・シーカー・オンライン」のデバッガーだったハガは、この不完全なバグだらけの世界に閉じ込められ、1年を迎えようとしていました。
ログアウトが出来ない現状は、他のデバッガー達を混乱させてしまい、結果として一人だけ残ってしまったハガ。
ただデバッグを行う事しかできず、毎日をただ仕事に打ち込んで過ごしていたのです。
ニコラの村に訪れたのも、イベントのバグ取り調査を行う為。
村をドラゴンの襲撃から助けてもイベントが強行されるのかと調査をし、結果としてドラゴンに勝利をしても、ニコラを始めとする村人達は全滅するのかと確認をしていたのです。
そしてイベントは問題なく進み、ニコラは村と共に焼けて死んでしまったのです。
何をしても助ける事は出来ず、失墜の中でハガは報告書を淡々とまとめていました。
そんな時、彼のテントに訪れたのは死んだ筈のニコラでした。
必ず死ぬ筈の運命──設定で決められている筈のニコラがここにいる事。
これはバグなのかと報告書をまとめなければと考えてしまうも、もう死なせたくなと良心が痛むハガは、彼女を仲間として迎え入れ、共にシーカーとして旅立つ決意をします。
第3話 酒井と隅田
酒井と隅田と名乗るシーカーの二人は、ハガと同じデバッガーでした。
出逢うなりに唐突にハガにナイフを突き刺してきた酒井。
悪意ある行動にニコラを連れて逃げ出し、とある建物に立てこもるも、デバッグモードを使用し、壁抜けをして入り込んでくる坂井達。
壁を抜けてきた二人に驚くニコラでしたが、それに激高するハガ。
デバックモードは余程の事が無い限り使用してはいけないとされ、もしデバッグを使用してしまえば、それで生じてしまうバグも存在すると、彼らの軽はずみな行動に怒りを露にします。
そんなハガを揶揄うかのように酒井は平謝りをし、そして同じデバッガー仲間だからと、彼を迎え入れようとしてきます。
ログアウト出来ない世界でやりたい事を好きにしようとする二人。
ハガはどう立ち向かうのでしょうか?
第4話 仲間たち
隅田がハガの作戦に敗れ、エリア外へと落下してしまい、一人逃げた酒井は社長へと報告しにアジトのベイル城へと訪れていました。
生真面目にデバッガー作業をしているハガを笑い、敗れた隅田を探す気も無い社長は、真面目にイベントを進めているのならば、いずれここに来るだろうと予測していたのです。
そんな行動を見透かされていたハガはニコラと共に、かつての仲間がいる降臨の祭壇へと向かっていました。
ダウンロードコンテンツで発生したダンジョンの仕組みを理解していたハガでしたが、それをまるで知らないニコラは罠に掛かってしまいます。
祭壇の生贄として連れ去られてしまうニコラ。
ハガは彼女の窮地を救う事が出来るのでしょうか?
第5話 テスラ
かつてハガの仲間達は、ログアウト出来ない現状の中で気晴らしとして、遊び半分でデバッグモードを使用してしまい、その結果、ゲーム内のバグに取り込まれてしまったのです。
一人は空中へと昇りそのまま消えてしまい、もう一人は床に沈んで動けなくなり、もう一人は無限ループの死に戻りにハマってしまう。
最悪の結末を迎えた仲間達を見て、ハガは絶対にデバッグモードは使用しないと決めたのです。
唯一にデバックモードを使用しなかった、リーダーの神さんは、このゲームのクリアを目指し、一人旅立っていきました。
シナリオを進めたら戻れるかもしれないと、微かな希望を抱いて、今のクリアを目指して頑張っている神さんの言葉を信じ、頼まれたデバック作業を淡々と続けていたハガ。
そんな彼の過去のいきさつを聞き、ニコラは豹変し、彼のデバッグストーンを奪ってしまいます。
信じられない動きをするニコラ。
彼女は何者かに憑依されていたのです。
ニコラに憑りついていたのは、このゲームを統率するメタAIであるテスラでした。
生真面目にデバッグをしているハガに、ある依頼を持ちかけたテスラ。
はたしてその依頼とは?
第6話 天野イソラ
ハガ達がとある村に到着するも、そこはTポーズ固定されたままの村だったのです。
住人達が両手をひらいたまま、動きのモーションが無く、T字の体勢のままで動き回る奇怪な村の修正を進めていた中で、一人だけTポーズのままでいる村人を見つけます。
フェザーと呼ばれる猫型の亜人種族の村人に話しかけるも、魔法で姿を消してしまい、微かな足跡をたどり、一軒の小屋へと訪れます。
そこにいたのは病で身動きの取れない少女・ルゥ。
彼女が持っていた用紙には、この世界には存在しない筈の漫画が描かれていたのです。
そして次の瞬間、ニコラを人質にとられてしまいます。
姿を消していたアマノと名乗るデバッガー。
はたして彼の目的は?
この世界は不完全すぎる 1巻の感想
代表作に「しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜」「将棋指す獣」など、現在幅広いジャンルでの活躍が期待されている漫画家・左藤真通先生の異色のSFファンタジー作品となる「この世界は不完全すぎる」
一見、これは王道的なファンタジーモノな作品かと思いきや、もしかして意表を付いた異世界モノかと中盤を読み込み、終盤ではなんとSFVRゲームモノなファンタジー作品と、驚きな展開を見せてくれた今作。
本作の主人公のハガは、見た目は歴戦の勇士の様なマッチョな体型をしてはいるも、中身は小心者の慎重派な人間であり、誰よりも正義感は強くお人好しな性格と、実に好感の持てる主人公です。
好き勝手にやらかす相手の暴虐を許さず、真正面から反抗し、立ち向かえる勇気を持ち、土壇場で機転を利かし、窮地を脱する試行錯誤。
安易な勝ちが見えない中で、ギリギリの勝負をしていくハガの活躍は見ものです。
そしてゲームモノの漫画のお約束な展開もしっかりと盛り込まれており、どこかで見た事のあるバグやグリッチなどの裏技などを演出の中に盛り込み、物語を盛り上げてくれています。
デバッグをしながら、不完全な世界を変えようとするハガと仲間達。
ゲームの中に囚われるも絶望せずに、脱出を試みようとする彼の活躍と行動が、どんな展開をもたらすのかと、先読みの出来ない内容が見どころな作品です。
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