さんさん録 2巻のネタバレ、あらすじと感想を紹介します。
妻に先立たれた、初老の主人公・参平。
そしてその妻が残した、分厚いファイル『奥田家の記録』。
息子夫婦と同居することとなった参平は、『奥田家の記録』片手に「主夫」として、第二の人生をスタートさせることに。
「さんさん録」2巻には、全17話と、こうの史代先生による「あとがき」が収録されています。
さんさん録 2巻のネタバレ、あらすじ
第18話 ぱらぱら翁
礼花の実家に帰省していた詩郎、礼花そして乃花は、家に帰るなり参平を見て、『このじいさん地味―!』と揶揄します。
それは礼花の父親、つまり乃菜の『おじいちゃま』が、崖から海に飛び込んだり、お好み焼きを豪快に作ったりと話題性に絶えなかったからでした。
それに比べ、参平は家族に麦茶を出したり、シャツにボタンを縫い付けたり…。
嫉妬心にかられた参平は…。
第19話 aとp
夏の日、礼花が目を覚ますと、まだ6時前。
かたわらには、詩郎と乃菜がまだ夢の中。
礼花は、眠い目をこすりながら食事の準備に取りかかりますが…。
第20話 百面相電話
参平は名刺を片手に、人材派遣会社の仙川イオリに電話をしますが、つながりません。
再度かけなおし、『先日はご迷惑をかけました 今度おわびに めしでもおごらせて下さい』と留守番電話にメッセージを残します。
とその時、ちょうど乃菜が帰宅します。
動揺を隠せない参平。
その後、奥田家に次々と電話がかかってきます…。
第21話 はこ入り娘
乃菜は珍しく早起き。
詩郎と礼花から『おめでとう』と声を掛けられます。
そう、今日は乃菜の誕生日なのでした。
参平は、『誕生日おめでとう』と言って、500円玉を乃菜に手渡しますが、それを見ていていた詩郎と礼花から、『なんと味気ない…』と言われてしまいます。
参平は『夜までに なんとかするわい』といって、『奥田家の記録』を読み返しますが…。
第22話 言わないこと 言えないこと
夜、参平が家で過ごしていると、一本の電話が入ります。
それは、人材派遣会社で詩郎の「引き抜き」を担当している仙川イオリからなのでした。
電車に乗り、イオリとの待ち合わせの公園へと向かう参平。
そこには和服姿に身を包んだイオリが、一人たたずんでいるのでした…。
第23話 花のある暮らし
礼花は、仕事を終えた詩郎を駅まで迎えに来ていました。
『お?どうしたんだ』とちょっとおどろく詩郎。
さらに礼花は、高いお酒まで買っていました。
普段とは違う礼花の様子に、詩郎は『ははあ さては何か頼み事かな』とかんぐります。
案の定、自宅には礼花が仕事の関係で持ち込んだ、大量の菊の鉢植えがあったのでした…。
第24話 赤い糸
参平はタンスの中から、ボロボロになった1枚の赤いカーディガンを見つけます。
一度は、見なかったことにしてカーディガンをタンスに戻しますが、やはり気になって取り出し、思案に暮れます。
そしてカーディガンを丁寧に分解し、一つの赤い毛糸玉としたのでした。
『奥田家の記録』を読み返す参平。
そこには、『ゆび編みマフラーの作り方』が図解入りで記載されていたのでした。
見よう見まねで、赤い毛糸を使って「ゆび編み」を始める参平の姿がありました…。
第25話 おもての風
年の瀬が近づく中、参平を含め詩郎一家は、デパートに買い物に来ていました。
用事も一通り終わり、デパート屋上の公園のベンチで休んでいると、そこにあのイオリが現れます。
動揺を隠せない参平。
イオリは、詩郎が務める会社の年末年始の臨時社員の派遣の関係で、詩郎を訪ねてきたのでしたが…。
第26話 犬ぬりたて
乃菜は、学校で図工の時間を過ごしています。
課題は「動物」。
でも、なかなか筆が進みません。続きは宿題となりました。
乃菜は、いつもの通学路の途中の家で飼われている犬を題材として、絵を描き始めますが…。
第27話 あたる日
年も明けて数日後。
参平は、朝から茶柱、外に出ればハトのフンに当たり、立ち寄ったお店では思いがけずお得に買い物ができました。
そんな中、あのイオリと会う約束をしていた参平。
イオリは約束を破ることなく、待ち合わせ場所に姿を現します。
参平は、今日は「あたる日」だと思いつつ、イオリと行動をともにするのでしたが…。
第28話 優しい巣
穏やかな冬の日。
参平は窓ガラス越しに、木蓮(モクレン)にとまる小鳥を眺めています。
手元の紙には、鳥の巣箱の設計図。
程なく参平は材料となる板と道具を手にして、ベランダで巣箱の作成に励みます。
礼花も巣箱づくりを手伝います。
そして礼花は参平に対して、静かに問いかけるのでした…。
第29話 2月の苦悩
乃菜は学校から帰るなり、参平に対して『チョコレートケーキ作れる!?』と言い寄ります。
ただならぬ殺気を感じた参平は、『奥田家の記録』を読み返し、ケーキ作りに励むのでした。
完成したチョコレートケーキを片手に、そそくさと外出する乃菜。
気になった参平は、乃菜のあとをついて行きますが…。
第30話 春雷
第31話 春風
第32話 春の海
第33話 詩郎録
最終話 見ているとおもわなきゃいいのよ
第30話から第32話までは「春」がタイトルにつきます。
そして最終話へと続いていきます。この先は、ぜひ実際に作品を読んでみてください。
そして、あなたに沸いた感情を大切にしてください。
さんさん録 2巻の感想
―「あえて苦手な人を描くという事」と「市井(しせい)の人を描くという事」―
「さんさん録」2巻には、双葉社の雑誌「漫画アクション」に2005年8月から2006年5月までに連載されたものが収録されています。
「さんさん録」2巻の巻末に、作者であるこうの史代先生のあとがきが収録されています。
このあとがきの中で先生は、『いっその事うんと苦手なものを描いてみよう それで「じじい」を主人公にしようと思ったのです』と記しています。
さらには、「さんさん録」を手掛ける前には、相当の苦悩の期間もあったとも記されています。
参平の妻・鶴子が生前書き留めていた『奥田家の記録』。
それは奇しくも「長い長い遺言」となったと、第1巻のあらすじ・感想でも記したところです。
生活の全てのことと言っていいほど、膨大な記録を残した鶴子。
それゆえ鶴子が亡くなってもなお、参平の中には「鶴子」が存在しているのです。
参平は、妻・鶴子が亡くなった後、取り留めのない日々を送っていました。
息子家族と同居することとなり、「主夫」として生きていこうと決意した参平。
それは、『奥田家の記録』があったからこそです。
『奥田家の記録』を通じて参平の中には、まだ妻・鶴子は生きているのです。
最終的には『奥田家の記録』を、一字一句覚えるまでになった参平。
『奥田家の記録』はどうなっていくのでしょうか。
それは、ぜひ作品を読んでみてください。
この「さんさん録」を時系列的に見ていくと、「夕凪の街 桜の国」(2004年刊行)のあとに執筆されています。
「さんさん録」という作品で市井(しせい)の人を描いた先生は、このあと「この世界の片隅に」の執筆にとりかかります。
「さんさん録」で描いた、「ごく普通の人々のごく普通の出来事、でもとても大切なもの」
という視点は、「この世界の片隅に」においても受け継がれ、名作の誕生となったと理解します。
「この世界の片隅に」のファンの方にはもちろんの事、こうの史代先生の作品に触れたことのない人にも、ぜひ本作「さんさん録」をお勧めします。
さんさん録 2巻は無料試し読みすることができます。
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