姉なるもの 1巻のネタバレ、あらすじと感想を紹介します。
孤独に苛まれていた少年・蓮沼夕は、立ち入りを禁じられた蔵の中で、美しき人ならざる悪魔と出逢い、契約を交わしてしまいます。
自分の家族・・、「姉」になって欲しい、と。
孤独を埋める為に家族を欲した彼の純粋な願いに、悪魔は優しく微笑み、姉の千夜と名乗り、彼と共に過ごすことを約束してくれます。
決して忘れる事の出来ない、人生の中で過ごした姉との記憶・・。
それは夕にとってかけがいの無い、優しく暖かい想い出でした。
『姉なるもの』第1巻には1話から6話が収録されています。
姉なるもの 1巻のネタバレ、あらすじ
第1夜
蓮沼夕は幼い頃に両親を失い、多くの親戚を巡り過ごすも、永く受け入れられる事はありませんでした・・。
迷惑を掛けない様にと過ごそうとしていた心がけも虚しく、薄気味の悪い子だと疎ましく思われ、ようやく落ち着いたのは、母の従弟である叔父の涼の下でした。
人と関わる事を嫌い、いつも庭に建てられた蔵に引きこもる叔父と共に過ごしていた中、突如として叔父が錯乱し、そのまま病院へと入院してしまいます。
叔父の入院の為に必要な物を集めている中、保険証が見当たらず、仕方なくに立ち入りを禁じられた蔵へと入り、保険証を探す夕。
そして偶然に地下室の階段を見つけてしまい、知らないフリをしなければと咎めてしまうも、行かなくてはと足が進み、地下へと降りてしまう彼は、異様な部屋を見つけてしまいます。
不自然な角度の天井と壁。
古い書物が山積みに置かれ、走り書きされた奇妙な文字と数字など、あまりにも異様な空間。
不安と不穏を煽らせ、不快感が増していく、そんな地下室にて、夕は誰かに呼ばれてしまいます。
・・・おはよう、と。
話しかけてきたのは、地面の文字から姿を現した美しい女性でした。
深い闇夜の様な髪の色をするも、それは生物の様に蠢(うごめ)き、美肌の肌を輝かせるも、蹄(ひづめ)のある獣の脚を持つ彼女の頭には、山羊の角が二本と生えていました・・。
怯える夕は訊ねます。
あなたは・・・天使ですか?
と、その言葉に彼女は微笑み答えます。
自分は【千の仔孕む森の黒山羊】と、神とも呼ばれ悪魔とも呼ばれる存在と・・・
そんな存在である彼女に何を求めるのかと訊ねられた夕は、自分の願いを告げてしまいます。
その願いとは?
第2夜
千夜と名乗り、夕の姉となった彼女は悪魔でした・・。
本当に自分の姉になってくれるのかと訊ねる夕に、契約ですから余す事無く願いを叶える、と囁(ささや)く、千夜の優しい言葉に吸い込まれて、言葉を失います。
そして、どこからどう見ても人間の身体と、服を溶かし、素肌を晒す千夜。
芸術的な彫刻の様な素肌を前に見惚れてしまう夕・・。
どこかおかしい所があるのかと不安を抱いてしまう千夜は、心臓も動いていると、彼に自分の胸を触らせてしまいます。
柔らかい感触に戸惑う夕は、あまりの刺激に倒れてしまいます。
のぼせて倒れた夕を心配する千夜と、人間の常識を知らない彼女と、上手く過ごす事が出来るのでしょうか?
第3夜
叔父の見舞いの帰り道に田んぼに落ちてしまった夕・・。
泥だらけになって帰ってきた彼を見て、千夜は何が起きたのかと動揺します。
襲われたのかと、そいつに仕返しをしてやると、臨戦態勢になり、悪魔の姿に戻ってしまいます。
そんな姉を慌てて止める夕は、ただ田んぼに落ちただけだと、自分の不注意を告げてきます。
安心した姉は落ち着きを取り戻し、汚れた身体を洗おうとしますが、触手に石鹸をつけ、洗い始めてきます。
変な感覚に囚われてしまう夕に、うっとりとした興奮を覚える千夜。
どうなるのでしょうか?
第4夜
その日の晩・・、夕は悪夢にうなされていました。
周囲から疎まれ、他人に不快感を与えてしまったせいで、悪意を向けられ拒絶されてしまった過去を想い出し、汗に濡れながらに目覚めた夕。
時間は夜中の3時と、夜明けはまだ遠い時間でした・・。
渇いた喉を潤わせようと台所へと向かう中で、居間で本を読む千夜を見つけます。
人間の身体になってから、まだリズムが取れずに眠れないと言う彼女。
幾つもの本を読み、長い夜を過ごしていた千夜に、夕は一緒に散歩に出掛けないかと誘います。
その誘いに喜ぶ千夜は、夜の散歩へと出かけます・・。
第5夜
穏やかな午後・・。
とあるテレビ番組を見ていた千夜は、夕に耳かきをしてあげたいと告げてきます。
流石に膝枕に耳かきは恥ずかしく、綿棒を切らしていると、誤魔化してしまう夕・・。
だったらと触手を変化させた耳かきを創り出し、これで耳掃除をしてあげると、なおも進めてくる彼女。
仕方なしに断り切れないまま千夜に耳掃除をされてしまいます。
でも上手く取れないと困惑する千夜は、ある事を思いつきます。
そのある事とは?
第6夜
いきなりの夕立で慌てて洗濯物を取り込む夕と千夜。
無事に洗濯物を取り終え、ひと段落つくも、夕立ちは豪雨となり、鳴り響く雷鳴(らいめい)に驚く夕。
空の雷様が夕を怖がらせたと、静かに怒る千夜は、文句を言ってくると言い、空へと向かおうとし、慌てて止めます。
雷様はどんなものかと訊ねる千夜に、おとぎ話のたぐいだ、本当にいるかどうかわからないと言い、雷様の特徴を教えていきます。
すると、虎柄の露出の多い衣装を身に着けた鬼へと変身する千夜。
おへそを取っちゃうぞと、夕を襲ってくる彼女に赤面しながら逃げる夕。
夕立ちは、まだまだ止みそうにはありませんでした・・。
姉なるもの 1巻の感想
イラストレイターとして、また漫画家として、ついにはバーチャルYouTuberに、キャラクターデザイナーとして多くの活躍を見せる有名な飯田ぽち先生が送る「姉なるもの」。
孤独なる少年・夕くんの前に現れた、妖艶なる美しさを持つ悪魔が、姉となり、彼の孤独を埋めていく・・。
とても穏やかで、そして時に賑やかで、互いに必要としながら、今の時間を記憶しながら、想い出を紡いでいく物語となる作品になっています。
姉となる悪魔こと千夜さん・・。いやはや理想のお姉ちゃんですね!
こんなお姉ちゃんなら、悪魔でも邪神でも、代価が命でも傍にいて欲しいです!!
優しくて一見、完璧そうなお姉ちゃんにも関わらず、どこか抜けていて、天然な素振りを見せるも、怒ったら怖い。
まさに理想のお姉ちゃんの願望を詰め込んだ、お姉ちゃんと言うべき存在で、実に尊いです。
そんなお姉ちゃんを持ってしまった夕くん・・、過去があまりにも辛いです。
親を失い、親戚に忌み嫌われていたと・・。
そんな彼が唯一に心を許せる相手となったお姉ちゃんである千夜さんに孤独を埋めてもらい、家族になる暖かさが本編の見どころです。
例え、人ならざるものでも、恐ろしい存在でも、愛情を持って応えてくれる、そんな千夜さんの優しさが、夕くんが失った家族の暖かさを与えてくれる、とても優しさに満ち溢れた作品となっています。
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