「海街diary 1巻 蝉時雨のやむ頃」のネタバレと感想を紹介します。
吉田秋生(よしだあきみ)先生の傑作漫画である「海街diary」(全9巻)。
1巻では、主人公である浅野すずの父が亡くなり、異母姉である鎌倉の香田三姉妹との生活が始まる様子が描かれています。
1巻には、第1話から第3話と海街diary周辺MAPが収録されています。
海街diary 1巻 蝉時雨のやむ頃 のネタバレ
1 蝉時雨のやむ頃
香田三姉妹の次女の佳乃(よしの)は、交際している大学生の藤井朋章(ふじいともあき)の部屋で、長女の幸(さち)からのメールを受けます。
佳乃が幸に電話をすると、父親が亡くなったとのことでした。
佳乃は思います。父親が死んだのに、ちっとも悲しくないと。
それは佳乃が7歳の時に両親は離婚していて、父親は家を出ていったからでした。
その2年後、今度は母親が再婚するといって同じく家を出ていきました。
それ以来、香田三姉妹は鎌倉の祖母の家で暮らしていて、両親とは一度も会っていませんでした。
その祖母もなくなり、古い家には三姉妹だけが残ったのでした。
三姉妹の父親は女性関係で、姉妹の母親と離婚し家を出ていったのでした。
そしてその女性と再婚し、1人の娘をもうけます。
しかし再婚相手の女性とも死別し、再再婚という形で今の奥さんと結婚したとのことでした。
父親の死亡の連絡は、今の奥さんの叔父からでした。そして父と再婚相手の女性との間の娘は、中学生になっていると…。
葬儀の話題になった三姉妹。看護師をしている長女の幸は病院の夜勤があるので行けないと言います。
幸の指示で、佳乃と三女の千佳(ちか)が、父親が晩年を過ごした山形へと向かうこととなったのでした。
山形の田舎駅に降り立った佳乃と千佳。そこに「浅野すず」(あさのすず)と名乗る少女が現れます。
―『お父さんの姓だよ』『‟妹“だ』―
二人は思います。
それは、亡き父と再婚相手との間の娘、つまり香田三姉妹の異母妹なのでした。
通夜の間、父を失っても毅然(きぜん)とした態度をとり続けるすず。
それに対して、すずの義母(三姉妹の父の今の奥さん)は、ずっと泣いていて自分のことで手いっぱいの状況です。
翌日の葬儀に、夜勤で出席できないと言っていた幸が姿を出します。
葬儀が一通り終わり、帰りの電車を待つ三姉妹。そこにすずが、亡き父が大事にしていたという写真をもって現れます。
そこには幼い頃の三姉妹が写っていたのでした。そして在りし日の父を思います。
『ダメだったかもしれないけれど やさしかったんだよ…』と。皆涙を流します。
別れ際に幸はすずに対して、『鎌倉にこない?』と突然提案します。
戸惑うすずでしたが、『行きます!』と答えるのでした。
―『そして蝉時雨がやむ頃 我が家に末の妹がやってきた』―
2 佐助の狐
―『父の四十九日がすんだ翌週の日曜日 末の妹のすずが引っ越してきた』―
すずの引っ越しの手伝いに、千佳が働くスポーツ店の店長「浜田」が香田家を訪れます。
すずは、山形の前は仙台に住んでいて、サッカーのジュニアチームに入っていました。
鎌倉の少年サッカークラブ、湘南オクトパスの入団テストを受けさしてもらうのに、浜田店長がクチをきいてくれることになりました。
千佳はすずに対して、引っ越しの片付けが一段落したらオクトパスの練習試合を見に行こうとさそいます。
その帰り道、千佳とすずは佳乃の交際相手の朋章を見かけます。
『よーし 後をつけたる』と千佳。
朋章は、佐助稲荷神社にひとり入っていくのでした。そこには見知らぬ男性がいて…。
3 二階堂の鬼
湘南オクトパスの試合を見学するために、千佳とすずはグラウンドに来ていました。
オクトパスの選手の一員である緒方将志(おがたまさし)と尾崎風太(おざきふうた)は、千佳の隣に立つすずに興味がある様子です。
すずは、将志と風太が通う亀ヶ谷(かめがやつ)中学校に転入します。
すぐにクラスメイトとなじんでいくすず。
そこにオクトパスの選手で、別のクラスの多田裕也(ただゆうや)がチームの監督から預かってきた書類を届けにやってきます。
多田が「浅野」と呼び捨てしたことに、クラスの女子はざわめきます。多田はイケメンでサッカーも上手なことから女子には人気があったからです。
『浅野なんて チョー仲よさげー』と…。
多田は答えます、『バーカ 浅野はオクトパス入んの!』。
それを聞いた将志と風太は、驚きを隠せません。
すずは湘南オクトパスの入団テストをうけることとなりました。練習試合ですずは、見事なプレーを見せます。
監督の井上泰之(いのうえやすゆき)も、一瞬言葉を失うほどです。
練習試合は続きますが、風太は接触プレーで裕也を転ばせてしまいます。右ひざを痛めた裕也。
しかし監督で理学療法士でもある井上は、その異変に気付きます。
『でもこりゃ 今やったやつじゃないな』と。
井上の判断で即刻病院に行くことになった裕也。
その後、裕也は学校を長期欠席することとなります。
裕也の身に起こっていることとは…。
海街diary 1巻 蝉時雨のやむ頃 の感想
吉田秋生先生の「海街diary」は全9巻で構成されています。
是枝裕和監督によって2015年に実写映画化されたこともあり、実際に映画をご覧になった方や、タイトルを知っている方も多いでしょう。
原作漫画である本作「海街diary」には、映画にはないエピソードや、その後の物語が丁寧に紡がれていきます。
1巻である「海街diary 蝉時雨のやむ頃」では、主人公である浅野すずの複雑な生い立ち。鎌倉の香田三姉妹と亡くなった父との関係性、そしてすずと三姉妹がともに暮らし始める様子が描かれます。
三姉妹の長女幸は、父が家を出ていったことを未だに許せずにいました。しかし夜勤明けにも関わらず、鎌倉から山形まで行き、亡き父の仏前に手を合わせます。
次女の佳乃、三女の千佳ともに父親と過ごした期間はわずかで、記憶もあいまいです。
『悲しんであげられなくてごめんね 離れてる時間が長すぎたんだね』と。
それでもすずが三姉妹に手渡した、父が大事にしていたという写真には、幼き日の三姉妹が楽し気に写っており、その時の記憶がよみがえります。
その時初めて、三姉妹は涙を流すのでした。
今後この作品は、すずの成長や香田三姉妹それぞれの恋模様も描かれていくことになります。
ちなみに「海街diary」は2007年に第11回文化庁メディア芸術祭漫画部門優秀賞を受賞しています。
受賞うんぬんに関わらず、大変秀作ですのでオススメの作品であることに間違いはありません。
物語は、「海街diary 第2巻 真昼の月」に続いていきます。
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